授業開始・記憶と記録の話
関越自動車道・所沢インターへの誘導路脇に桜の林があって
一週間前に満開だった枝に、もう緑の若芽が混じりだしていました。
つまり天気に恵まれたので、
バイクで所沢に出校したというわけで——
さてさて、本年度最初の授業。文芸特殊講義IXです。
今日は授業選択のガイダンス的な意味もあるので、
「パソコンやネットっていうのは、
際限なく増えていく記録をうずもれさせないために
生み出されたシステムなんだ」
ということをかいつまんで話したつもりです。
もちろん芸術学部は、何かを総括して世界の全てが分かった気になるための場所ではないので、それをどう創作に結びつけるかという部分が大切なポイントです。
そこで、
うずもれる記憶、というテーマと
パソコンという道具により、かつては不可能だった個人製作が
アニメの領域でも可能になった現状をあわせて実感できる実例として、
「ペイル・コクーン」を観てもらいました。
記録自体は真実でも
ありかを変えてしまうだけで
人々をだますための道具になってしまう——
その種の危うさや儚さが、
記憶の属性のひとつであることは否定できません。
そこを突くことに成功している作品のひとつだと思います。
作品を見せる前に、うずもれる記憶に対抗する手段としての検索エンジン・Googleと似た機能をネットの「こちら側」に実装している例として、Macのスマートフォルダを紹介したんですが、ちょっと上手く行かないうえに分かりづらいデモをしてしまいましたね(反省……家に帰ってからかなりヘコみました)
スマートフォルダの便利さと背中合わせの怖さは、
自分が入れなくても条件に合ったものが新たに発生したら、
(検索エンジンのクロールと同様に)
愚直に拾い集めて入れておいてくれることです。
なので、
一週間以内に変更した画像(ダウンロードしたり開いたりしたもの)
という条件で、スマートフォルダを実演して見せれば
もっとわかりやすかったかもしれません。
実用例を挙げてみます。
スマートフォルダはどこにでも作れるので、Mac使いの恋人がいる女性は、彼氏のMacの気づかれにくい場所に「画像・一週間以内」という条件でスマートフォルダを作ってみてください。
次に彼氏の家に行った時、
そのスマートフォルダの中に何が入っているかお楽しみ!
…って、マジでやらないでくださいね。冗談ですから。
世の中には知らないほうがいいことがたくさんあるのです(汗)
知らないほうがいいこと…といえば、こないだ芥川賞をとった絲山秋子の『沖で待つ』は、どちらかが先に死んだら、誰にも中を知られないように相手のパソコンのハードディスクを破壊する約束をしあう話でした。
それで、ふと個人的なことを思いだしたのですが、昔つきあっていた彼女のパソコンのハードディスクがよく異常をきたすというので、前もってバックアップをとってから、新しいハードディスクに交換してあげたことがありました。
僕はクソまじめに(あ、iPod用の曲データだけはもらったけど)彼女のバックアップ・データを作業完了後すぐさま完全消去したのですが——
それって逆に、
「なんだよ実用的データだけ欲しがって、
私のメールとかのプライベートには全く興味もないのかよ!?」
とか思われてたかもなぁ、なんて、今になってかえりみたりするのですが
……まぁ、たいていそういうのは考えすぎってやつですよね〜(汗)
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